=注=
1.
オイルフィルターは6気筒12気筒ともにEBC9658。 個人的な意見ですが夏場のオイルは冷間時粘度(20W-50の20の方)が6気筒は10W、12気筒は15Wより指数の低いものは使わない方が良いようです。 マルチグレードのレンジの幅(20と50の差)は広ければ良い訳ではなく、暖まった状態で同じ粘度の同じ規格(API−SJ等)のオイル同士であればその状態での潤滑性能、耐久性など、レンジの幅のせまいオイルの方が性能が良いのが普通です。 暖機をあまりしない人はできるだけレンジの広いものをより頻繁に交換することをお勧めします。
2.
フィルター(ストレーナーともいう)はXJRと12気筒がJLM10952、フィルター交換時にはフィルターのネックシール(JLM10953 しっかり取り付けられていることを確認すること)とオイルパンガスケット(JLM10975、 取り付けボルト穴の位置が一箇所違うのでGM用は使えない)も交換すること。 他の6気筒用はストレーナーがJLM2128、ストレーナー用OリングがJLM2127、オイルパンガスケットは3.2L用JLM650、4.0L用JLM2144。 下記18.も参照のこと。
3.
合成油でない古いタイプのフルードはレース用など沸点の高いものほど吸湿性が高く、寿命が短い傾向にあるようです。 x300に合成油を使用しての不具合は聞いたことがありません。 タンクから古いフルードを抜き取り、新しいフルードを充填してから必ず4輪のキャリパーにあるニップルそれぞれから各回路中の古いフルードを抜いてまたタンクに補填すること。
4.
ファクトリーは定めていませんが同時にサーモスタットの交換をお勧めします。 サーモスタットは6気筒用がEBC3621、ガスケットがNBB2217AC、12気筒用はサーモスタットEBC3577が2個、ガスケットEBC8331が2枚。 クーラントのラバーホースもラジエーターホースを始めとしてヒーター関係をふくめると特に12気筒はたくさんあるのでいやになりますが、交換をお勧めします。 ホースが破裂した場合にはサブタンクのキャップがきちんと圧力を逃がすことをテストしてもらうこと。 これができない場合にはホースと同時にキャップ(MNA4440AA)を交換すること。 下記20.を参照。
5.
エレメントは6気筒がEAC5672を1個、12気筒は同じEAC5672を2個。
6.
XJRは12気筒とほぼ同じ量の吸気を1個のエアクリーナーでまかなっているので、より頻繁な交換が必要です。
7.
フィルターは全車種共通でNMD6091AB。 2個のOリング(CAC8968-2 x2)が必要です。 XJRと12気筒は燃費が悪い分、より頻繁な交換が必要ではないかと思います。 燃料タンクアセンブリーは日本仕様(NNA5908DE)とそれ以外(NNA5908HF)で違うので注意。
8.
推奨スパークプラグは車種だけでなく、仕向け地別(公害対策別)に違うので並行輸入車は注意が必要です。 私は12気筒にデンソーのイリジウムプラグを使用して非常に良い結果を得ています。 12気筒はプラグケーブルのプラグ側とコイル側のブーツ内側にシリコングリースを塗布すること。 12気筒のプラグケーブル(ハイテンションコード)の交換が指定されていないのは片手落ちだと思います。 プラグ交換2回か3回に一度は交換するべきでしょう。
9.
オルタネ-タベルト XJR NBD3700BA 他の6気筒 EBC11306 12気筒 NAC2211BA
コンプレッサーベルト 6気筒 EBC11220 12気筒 NNA4705AA
スーパーチャージャーベルト NBD7740EA (XJRだけ)
ファンベルト EAC9898 (12気筒だけ)
10.
ベルトの張りすぎは燃費・パワーの無駄だけでなく、ウォーターポンプやパワステポンプなどのベアリング劣化を速めるので注意。 特にXJRはスーパーチャージャーベルトのアイドラ-プーリーのベアリングが痛みやすい傾向にあるようです。
11.
ワイパーブレードはDBC10808。
12.
これはブレーキケーブルの調整ではなく、リアハブ内側下部から行うブレーキシューアジャスターの遊び調整です。
13.
ジャガーのプレーキディスクローターは一般的に寿命が短いようです。
14.
デフ左右からハブへ動力を伝えるのがハーフシャフトで、その両端にあるユニバーサルジョイント計4箇所にグリースアップが必要。
15.
各タイヤ前にしゃがみ、タイヤ上部の内側に両手をかけて体重をかけ引っ張りながらゆするとガタがあるかないかわかります。
16.
ホイールベアリング(ハブベアリングともいう)は各輪に内側と外側、計8個あります。 12-15万キロ毎にリアのホイールベアリングも点検した方が良いと思います。
17.
片減りしている場合には上記15.とアライメントを調整。 95年前期型にはXJ40と同じくリアのトーイン調節機構がついていません(ロアアームを熱して曲げるしかない)。 全車種キャスターの調節ができるのはありがたいです。 どうしてアライメントの点検と調整がスケジュールに入っていないのか理解に苦しみます。
18.
ATFはデキシロンII−Eが指定されていますが、最近は入手が困難になってきているようです。 デキシロンIIIはII-Eの上位互換品なので使用自体に問題はありませんが粘度が高い(Viscosityを粘度と訳すと高いほどサラサラして、SAE30などの粘度係数は高いほど逆に粘り気が強い)ものが多く、シフトフィールの悪化することが多いので、専門ショップの意見を聞くことをお勧めします。 同じデキシロンIII規格でも品種によって性質のバラつきは大きく、高級品のなかにはあえて規格をとっていないものもあります。 上記2.にもあてはまるのですが、フィルターやパンにたまったごみが溶け出して悪さをすることがかなりの頻度であるようなので、パンを外さずフィルターを交換しないでATFを上から吸い出して交換する「上抜き」は絶対にしないようお勧めします。 ATF交換直後には後進と1−4速までをJゲートでマニュアルセレクトし、すべてのギアを急加速せずに使うことによってクラッチ損傷の可能性を下げることができるそうです。 BBS1の過去ログにATF交換に関しての活発な意見交換があります。
19.
ブレーキフルードは分光屈折計にかけて水分の含有量を測るのが正式の点検法ですが、そんなものは持っていないショップも多く、またタンクの中と各輪への回路中では含有量が違うのが普通で、各輪毎に全回路測るくらいなら交換したほうが簡単なので、私は2-3万キロ毎に全量交換をします。 上記3.参照。
20.
クーラントのレベル確認はもっともっと頻繁に行うべきだと思います。 クーラントも密閉式でないバッテリー液と同じく点検時に比重を計るのが正式ですが、私は3-4万キロ毎に全量交換(ヒーターを全開にしてフラッシングを行うこと)してしまいます。
21.
BBS1の過去ログにガラコなどの添加剤についての議論があります。
22.
x308までのXJジャガーは全車種コーナリング時の横Gをデフでも受けるリアサスの設計なので、デフのサイドベアリングに加わる横方向の負荷が大きく、オイルシールとデフオイルの負担が一般より大きいようです。 6万マイルまでに指定されてはいませんがデフオイルの交換をお勧めします。
23.
パワステホースからのオイル漏れはXJ40と同じくx300の弱点と言って良いと思います。 少しでもタンク内のオイルが減っていたら、上の表の30.を行ってください。 又、オイルタンク下部のちゃちなスプリング式ホースクランプの締め付けが弱すぎてオイルがにじむのが数少ない製造時の欠陥の一つなので、通常のネジ式のクランプに変更、あるいは追加をお勧めします。
24.
6万マイル時には触媒の上流と下流に2つづつ計4個あるO2センサーの内、上流の2個だけでも交換をお勧めします。 O2センサーは6気筒と12気筒、また仕向地によっても部品が違います。 触媒も日本仕様は他の仕様と異なります。
25.
6気筒(AJ16)はXJ40(AJ6)ほどはカムカバーやプラグホールからのオイルもれはないようです。 しかし初期のAJ16にはシリンダーヘッドガスケットからのオイル漏れが特にXJRに多く報告され、VIN794099からガスケットの材質が変わりました。 対策部品はXJR以外はエンジンNo.B107672まで、XJRはNo.B107674までがNBC2520BB(未対策品ガスケットはNBC2520AA)で、それ以降のエンジン用がNBC2520ABです。
12気筒は5.3L時代にはオイルサンプとエンジンブロックの間にあるサンドイッチプレートのガスケットやメインシールからのオイル漏れが多かったようですが6.0Lになってから(XJ81以降)はあまりないようです。 カムカバー取り付けボルトの増し締めは一度はした方が良いと思います。
26.
ATFのオイルレベルチェックはATFが暖まった走行後、エンジンがアイドルしている状態で行います。
27.
フロントシール、左右のサイドシール共にオイル漏れには要注意です。 22.の注参照。
28.
これは普段からにおいに気をつけているべきもので、点検時には燃料パイプのさびや腐食、パイプ端のナットの緩みなどをみるべきでしょう。
12気筒には燃料のリターンパイプが燃圧レギュレータの振動を増幅して伝え、特に冬場、低速時に床下などの燃料パイプがボディにコンコンとあたって小さな音が室内で聞こえるという奇妙な持病があります。 VIN738090以降は対策にエンジンルームのフィードホースとリターンホースをつなげて振動を抑えるプラスチックのクリップがいくつか追加されましたが解決に至らず、結局フュエルレール右前部の燃圧レギュレーターからABSポンプのそばにある燃料パイプ端のクイックコネクトまでのリターンホースに内圧ダンパー(3cm径くらいの黒い金属製のダイアフラム様の部品)の“ついていない”対策部品(NNA6054HA Fuel Return Hose)が供給されるようになりました。 私の愛車はこの対策部品に換えてから症状が一切でなくなりました。
35.
最大開度以上開かないようにドアを止めているアームの側部。
36.
ハンドブレーキケーブルはハンドル直下がCBC9531(左ハンドル用=LHD)、CCC3701(右ハンドル用=RHD)。 その後ろボディ外部にでる部分がMNA5169AA(LHDとRHD共通)、後部右がMMD2742AA(LHDとRHD共通)、後部左がMMD2743AA(LHDとRHD共通)で左右の後部ケーブルは中間の右よりでカプラ-(CAC8603)によってつなげられています。
上記以外のx300のよくある不具合個所としてはヘッドランプガラス内部の曇り、室内防眩バックミラーの液だれ(ほおっておくともれてコンソールのウッドを腐食するので注意)、時計表示部の故障、リアフェンダーのリップ部の錆びによる腐食、前後サスのスプリングの塗装はがれ・錆びとへたりによる車高の一部低下(特に95年と96年型)、12気筒のスターターモーター(イタリア製)のベンディックス故障(固着)、シート位置検出ポテンショメーターの故障、サブフレームやアンチロールバーのブッシュ類の劣化などが報告されていて、バッテリー(ターミナルのゆるみに注意)も6万マイル(約10万キロ)はもたないのが普通だと思います。 他にご存知の方があればお知らせください。
上記、表の翻訳を含め文責は筆者にあり、すべてJDOCの公式意見ではありません。 「年式によって外見が同じでも品番の違う物もあり、社外品など使用する時に該当品番適用となっていても性能面で劣る物などあるので部品番号の記載はトラブル回避の意味でもしないほうが良い」というもっともな意見もあったのですが、読者の便宜を図る為にあえて記載したという事情をご理解ください。 部品番号は対策部品を除いてすべて“Jaguar Care PARTS BOOK THE NEW SEDAN RANGE 1995 MODEL YEAR”というジャガーカーズ発行のパーツリストによるもので、発行後ナンバーが変わっているものもあると思いますが、オリジナルの番号がわかれば新しいナンバーをもつ部品も探しやすいと思います。 部品番号とその他の記載内容について間違いがありましたらお知らせ下さい。 間違いであるなしにかかわらず、上記内容を使用したことに伴う損失が読者にたとえあったとしても、筆者及びJDOCは一切の責任を負いません。
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