x300 12気筒の サーモスタット交換
(by x300)
【作業手順】
  1. ラジエーターホースなどどこでも便利なところのクランプをゆるめ、漏れ出るクーラントを受けるいれものを用意して5リッター(適当に)ほどクーラントを抜く
  2. エアクリーナーボックスの前上部を覆っているプラスチックカバーを外す
カバー
前端2箇所のプラスチックピンの頭にあるみぞを進行方向から90度の
位置にくるまで回し、持ち上げると全体がはずれる。 これは左側。
  1. エアクリーナーボックスからスロットルへつながる太いパイプのクランプをゆるめパイプを抜く
  2. エアクリーナーボックスの上部カバーを本体に固定しているラッチを前後左右4箇所はずし、カバー後端を本体から10cmほど持ち上げる
  3. エアフィルターエレメントを隙間から引き出す
  4. 上部カバーを空気吸入口の太いパイプを中心に回転させボディ側の大きなラバーグロメットから抜く
  5. 上から見えるエアクリーナーボックスの本体をボディに固定しているナット(左右それぞれ1個だけ)とその下のワッシャ−を外す
    (このナットがはまっているスタッドはラバーマウントされているので21mmのレンチを下側のゴム部上部にあて、ねじ切らないようにゆるめること。  この際、薄くて短い21mmのレンチがあると便利。 指が届きにくいので、ナットなどを落とさないように)
  6. エアクリーナーボックスの本体の前下部2箇所の固定ピンをボディ側のラバーグロメットから本体ごと上に引き抜く
    (グロメットのゴムが新しいとちょっと抜きにくいので壊さないように注意)
ハウジング
(サーモスタットハウジングが良くみえるようになる。 これは右側。 左側も同様)
  1. ラジエータへつながっているホースのクランプをサーモスタット側でゆるめてホースを外す
    (クーラントがもれるので注意。 もれたクーラントは水で洗い流し、ふいておくこと)
  2. ハウジングのキャップをとめている3つのボルトを外し、キャップを外す。
    (ボルトは簡単に外れるが、アルミのキャップはガスケットに固着しているのでプラハンマーで軽くたたく)
  3. ガスケットをはがし、サーモスタットを外す
  4. プラスチックカバーを外すところからここまでの工程を左右共に行なう
サーモスタット取付口
(ガスケットとサーモスタットを外したところ。 これは右側)
  1. 左右バンク共に取付面をきれいにし、新しいサーモスタットをはめ、新しいガスケットを使って9番の工程まで逆に行なう
    (アルミのキャップのラジエーターホースがかぶる部分と、そこにクランプで締め付けられるホースの内側はもれの原因になるので特に入念にきれいにする。 サーモスタットには小さな鉄球の入ったチェックバルブがあり、そのそばにTOPと書いてある部分を上にして穴にはめる)
  2. エクスパンションタンクに水とクーラントの混合液を(タンクの中にあるMAX印を超えないように)補充し、キャップを開けたままエンジンをかける
  3. タンク内の水面を見ながら30秒ほど待って必要があれば再補充し、タンクのキャップを閉め、エンジンを暖める
  4. 暖まるのを待つ間、今までエアクリーナーボックスをはずさないとやり難かったUnisyn(負圧計)を使っての左右バンクのスロットルの アイドル時の同調作業の用意をし、暖まってから同調をとりスロットルリンケージの調整をしました。 この工程はオプション
必要部品
左側が新しいサーモスタット2個とガスケット2枚。 右側が外したサーモスタット、
ガスケットとサーモスタットハウジングのキャップ
  1. エンジンが暖まり、水温が正常で圧力がかかっても漏れがなければ8番から2番までの工程を逆に行なって終了  (1番の工程でゆるめたクランプをしめ忘れないように)
  2. 翌朝必要があればクーラントの再補充をし、エンジンが暖まってからもう一度漏れの点検をする
必要部品: サーモスタット       EBC 3577 (WAXSTAT 88°)    ¥1,600 x 2
ガスケット          EBC 8331 (3 HOLE)          ¥350 x 2
クーラント

最後の写真で世田谷というシールがはってある箱は
エクスパンションタンク  MNA 4400AD (RESERVOR TANK) ¥25,400
が入っていた箱で、実は今回の作業はこのプラスチックのタンクに小さなひびがはいってクーラントが漏れ始め、 新しいタンクを買いに行った時に新車時からサーモスタットを交換していないらしいということが履歴をチェックして わかった為行なったものです。 (値段は2003年8月現在ジャガー東京)
タンクの交換は1番と2番の工程の間に行い、あっけないほど(ナット1個とホースクランプ3箇所だけ)簡単でした。
クーラントは希釈されていても思いのほか強い薬品で塗装にも悪影響をあたえるので注意が必要です。  この作業手順はx300の1995年後期型に基づいています。 x300はクーラントの交換が60,000マイル(96,000キロ) 毎に指定されています。 英国製の漏れ止め添加剤が指定から外されたことがあり(x300はもともとこの添加剤の 注入が指定されていた)、添加剤は入れないほうが良いという説もあるようですが私はJDOC会員の薦めに従い Holtzの漏れ止め添加剤を使っています。
ジャガー東京でサーモスタットには設計変更があったと言われたのも今回の作業を行なったひとつの理由でしたが、 新しい部品と取り外したサーモスタットとの間には目に見える違い、設定温度(88°C)共ありませんでした。  取り外したサーモスタットの状態は非常に良く、Holtzのラジエータ漏れ止め添加剤の少なくともサーモスタットに 与える影響はあまりなさそうです。 私の場合、ラジエータよりもとても沢山あるホースクランプ部からの漏れ防止が 使用の主な目的です。

取り外したガスケットは薄い金属板をゴムでコーティングしたようなものでしたが、新しいガスケットはポリプロピレン のような単一素材で、信頼性はずっと高そうです。 サーモスタットハウジングのキャップを留めている3本のボルト など、アルミに直接ねじ込まれているボルト類は締めすぎに注意してください。

寿命がとても長そうで、ジャガーのサービススケジュールに交換が指定されていない(!)といっても、できれば 5−6年に一度はサーモスタットの状態を確認したほうが良いのではないかと思います。 クーラントが不足した 状態で放置された車両は即刻フラッシングをしてク−ラントとサーモスタットを交換することをおすすめします。
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