ダイアグノース用テストドライブ
(by x300)
・OBD(On-Board Diagnostic System)について

アメリカ、カリフォルニア州は、増加する自動車の排気ガスのために、1980年代初頭、厳しい大気汚染にさらされました。そのため厳しい車両技術規定を議会に通過させる動きとともに、排ガスシステムに関するメーカーへの技術的な要求が高まりました。
1988年に導入されたOBDシステム(OBD-I)は、自動車の排出ガスに影響するすべての電気構成部品を、車両の電子装置でモニターすることでした。故障時にはドライバーへ、視覚信号(エンジンテルテール)によって通知されるようになりました。
1996年には改良版であるOBD-IIが適用されています。OBD-IIは、主に追加された電子構成部品を含めて、全ての排ガスに関連するシステムとプロセスがモニターされるようになったということです。

OBDの変遷
1988年 アメリカ国内で、OBD-Iが導入。
主な機能は
  1. 車両には自己管理できる電子システムを装着する。
  2. 排ガス関連の故障は、ダッシュボードに装着された、フォルトランプに表示。
  3. 故障はコントロールユニットのフォルトメモリーに記録され、オンボード診断装置を使って読み取りが可能。
1991年 欧州によってISO9141-2(米国OBD-II)がつくられた。
OBD-IIに適合したコントロールユニットは、SAE(米国自動車技術者協会)、ISO(国際標準化機構)の両規格に適合。

1994年 OBD-II 1996/1/1以降は米国全てのガソリン車に適合。

1996年 ディーゼル車に適合

OBD-IIの機能
  1. リアルタイム、データモニタリング
  2. リアルタイム、故障診断
  3. リアルタイム、故障診断消去
  4. メモリー関連作業
  5. データロギング
  6. アクティブテスト
  7. エミッション調整
  8. マップトレース
・ダイアグノース用テストドライブ

アメリカ合衆国で1996年型から全車種にオンボードダイアグノースティックシステム
(車載型の公害防止装置診断及び記録用コンピュータ)が義務づけられるのに対応し
て、ジャガーとデイムラーは1995年型のx300から、OBD-IIという他メーカーと基本的に共通な診断システムを搭載しました。

注1)OBD自体は、OBD-IがXJ40から採用されています。
注2)1995年型のX300ですが実際には1994年の10月から1995MYのデリバリーが始まっています。
注3)ジャガー各車のエンジン、トランスミッション、ABS、エアバッグ、ヒーター/エアコン、クルーズコントロール等 各システムのOBD対応表が
 http://www.etools.org/files/public/Jaguar_OBD_Matrix_Rev_07-08-03.htm
にあります。

以下にジャガーカーズが1995年に発表した診断用テストドライブの内容を説明します。 この説明はジャガーカーズ公認のジャガーヘリテージトラスト発行のマニュアル1145に掲載されている英語版をもとにしています。 なお、テストを行なうにあたってはすべて各個人の責任において行なってください。

OBD IIが診断コード(ダイアグノースティック・トラブル・コード DTCという)を記録するには、エンジンをスタートさせ、運転して次にエンジンを切るまでを1トリップと数え、1回だけでも異常を検知しただけで記録するコード、2トリップ連続して異常を検知して初めて記録するコード、3トリップ連続しないと記録しないコードの3種類があります。

ジャガーでは一般的に、回路の異常については1トリップ、触媒の効率の異常については3トリップ、その他の異常については2トリップを採用しているので、テストの目的によって以下のテストを1回から3回行なって下さい。
テストドライブ(サービスドライブサイクルという)の方法
  1. エンジンをスタートさせる。
  2. エアコンのスイッチが入っている場合にはすぐに切る。
  3. ステアリングを動かしたりデフロスターを入れたりしないで2分間アイドルさせる。
  4. クーラントが摂氏80度を上回るのを待つ。 (このステップは2回目、3回目のサイクルでエンジンが暖まっている場合には省略)
  5. ギアセレクターDで55km/hに加速し、1分間速度を保つ。
  6. ギアセレクターDのまま70km/hに加速し、10秒間速度を保つ。
  7. ギアセレクターDのまま90km/hに加速し、1分間速度を保つ。
  8. 減速し、ギアセレクター3か2で3,000回転以上を10秒間保つ。 (オーバーレブをさせないよう十分に減速してからシフトダウンすること)
  9. 穏やかに停止する。
  10. ギアセレクターDで、(キックダウンスイッチを踏まないように)おだやかに且つなるべくスロットルをあけて35km/hまで加速し停止するのを4回連続して行なう。
  11. 普通の速度で、ギアセレクターで2−3−Dの変速を(2速から3速で1回、3 速から4速で1回というふうに)2回と数え、シフトアップとダウンの合計で40回変速されるまで運転する。
  12. 停止する。
  13. ギアセレクターNで、エンジンを1,500-1,700回転に1分間保つ。
  14. ギアセレクターPで、最低2分間アイドルさせる。
  15. OBD IIスキャンツールでDTCを読み取る。
  16. エンジンを切る。
OBD IIスキャンツール(DTC読み取り機、これで警告灯のリセットも行なう)がない場合でも、警告灯が点灯するかどうかのテストにサービスドライブサイクルは有効です。 上記速度は約3km/hの違いがあってもテスト結果に問題はありませんが、速度を保つ為にスロットルを動かしてはいけません。 この為、交通量のない平坦な高速路を見つけることが重要です。


注意!
言うまでもないことですが、このテストより安全が優先します。 安全なテストコースを見つけ、速度計の表示を読み時間を計ってもらえる同乗者を確保し、少しでも危険のおそれがある場合には即座にテストを中止する気構えを持ったうえで、くれぐれも事故のないようにテストを行なってください。 事故の責任は運転者がとらなければなりません。
故障、その他このテストに関わる問題についてJaguar Cars Ltd., Jaguar Japan Ltd.
Jaguar Daimler Heritage Trust, Jaguar & Daimler Owners Club of Japan.
及び筆者は一切の責任を負いません。


「ダイアグノース用テストドライブ」についてはX300さんの原稿を元に一部Masaが追加、修正しております。
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