サーボモータ故障による空調異常について
(by えんど)
【概要】
エアコンのON-OFFに関係なくフレッシュエアで送風した時に上下で温度差のある風が排出された。
24度設定でも顔面には熱風が送風され、足下には外気に近い冷風が送風されたが、快適な運転を維持するには程遠い空調異常であった。ジャガーディーラーのコンピュータ診断でサーボモータ異常と診断されたので、これを個人輸入にて入手し交換したところ症状は改善され、元通りの快適な空調状態になった。
キーワード【XJ40, 空調異常, サーボモーター, 部品交換】
【はじめに】
一般に「フラップモータ(以下サーボモーター)」が接触不良やモータ異常等の原因により動作しなくなった場合、外気と温風の混合気がうまく出来ず設定温度に伴わない空調異常が発生する。

もしジャガーでハンドル脇のダクトと足下のダクトから温度差のある風が排出されたら、この原因はまずサーボモーターにあるといってよい。しかし場合によってはエアコンコンピュータそのものの故障も原因となることも考えられるので、ディーラーによるコンピュータ診断の有効活用は推奨に値する。

今回著者のJaguar XJ40,XJ6-3.2('94最終型,走行距離60,000km)で発生した空調異常はサーボモーター異常によるものであり、以前にも発症歴があった。

今回の再発症は以前の時点である程度ディーラーより予言されていたが、原因を確定するためにディーラーでコンピュータ診断を受けたところ、予想通りであったため個人輸入した部品と交換したところ症状が回復したので報告する。
【症状】
Jaguar XJ40,XJ6-3.2('94最終型,走行距離60,000km)で発生した症状はエアコンのON-OFFに関係なくフレッシュエアで送風した時に上部ダクトからは熱風が、また足下のダクトからは外気に近い冷風が排出された。これは足寒頭熱ともいうべきで、頭はボーッとしてくるし足は寒いしで不快窮まりない運転状況であったと言える。

実は走行約30,000kmでも同症状が発生しておりこの時はディーラーにてサーボモーターのメンテナンスおよび着脱で解決していた経験を持つので今回は再発生といってよい。
【材料と方法】
材料は以下のものを用意した。

サーボモータ(SERVO MOTOR...JLM11557) ×1
プラスドライバー(太)×1
ドライバー(細)(芯抜きボールペンや千枚通しでも可) ×1
棒磁石 ×1
識別用色テープ ×2
接点復活剤 ×1
ブロアスプレー ×1
絞り雑巾 ×1

まず右ハンドル運転席下のロアカウルをプラスドライバーにて5本ビス抜きして外す(写真J-AC00参照)。
J-AC00
J-AC00
外す時は座席側に平行に引いてカウルとボディを繋ぐネジ型パッチを折らないように気を付ける。

ロアカウルを外すとエアコンスイッチ裏にACコンピュータあるいは ECUnit(Electronic control module...DBC11108)に半分隠れたサーボモーターが見える(パーツカタログfiche2-H15,16,18要参照)(写真J-AC01参照)。
J-AC01J-AC01
ACコンピュータを外す前にコード線ユニットが3セットあるのでこれを抜くが、挿入時に混乱をさけるためにそれぞれ色テープで識別しておく。なおコンピュータにはアース等はなく、これらコードユニットのみの接続である。

ACコンピュータは2本のビスで固定されているが上(裏)側ビスは半固定となっているのでこの部分のビスは軽く緩めるだけでよい。
下側のビスを抜く時にはプラスドライバーに棒磁石を接着するなどして遺失を予防する(写真J-AC02参照、ドライバーの先がビス部分)。
J-AC02
J-AC02
ACコンピュータを外してようやくサーボモーターの全貌が見える状態となる(写真J-AC03参照)。なお、サーボモーターは同タイプが2個装着されているが、上側のモータの方は脱着するのにメータパネルから外さなくてはならないので症状により注意が必要である。
J-AC03
J-AC03
今回問題となったのは下側なのでこれの2本ビスを外して交換作業に入る。

モータのコードはユニット接続タイプであるため、本体側のオスユニットの爪をしっかり押して丁寧に外す。接点復活剤をスプレーしブロアで乾燥させた後に新しい部品と交換する。なお、オスユニットコード線は短いため奥に引っ込まないよう常に手に持っておき交換部品もすぐに装着できるよう用意しておきたい(写真J-AC04参照)。
J-AC04
J-AC04
以降は今来た順序を逆にたどれば作業終了である。ロアカウルのビス穴合わせには細いドライバー、千枚通しや指確認が便利であるが、一応ロアカウルの接続前に試運転して空調に問題ないことを確認しておくと効率的である。
J-AC04
J-AC04
以降は今来た順序を逆にたどれば作業終了である。ロアカウルのビス穴合わせには細いドライバー、千枚通しや指確認が便利であるが、一応ロアカウルの接続前に試運転して空調に問題ないことを確認しておくと効率的である。
【結果】
空調動作は正常状態へと回復した。やはりジャガーはこうでなくては( ̄▽ ̄ )
【考察】
着脱手順で「サーボモーターは同タイプが2個装着されているが、上側のモータの方は脱着するのにメータパネルから外さなくてはならないので症状により注意が必要」と紹介したが、ディーラーにて原因部品の診断がしっかりついていたので今回は自分で着脱するということが可能となった。
そういう意味ではコンピュータ診断の必要性を痛感する。

しかし部品自体の価格から言えばディーラー価格\47.2k-/個というのはちょっとつらかったので、今回は個人の責任を十分自覚した上で輸入と言う手段をチョイスした。部品代は一気に\17k-(送料別)となったが、こういった作業が可能となったのもディーラーのスタッフより取付手順等の丁寧なご指導があったればこそである。心から感謝を申し上げたい。

外したモータユニットは3つのツメで留めてあったので丁寧に外して解剖したが、複数のギアとシンプルなモータ単体があり、グリスも真新しい状態であった(写真J-AC05参照)。 モータにも外見的にはショートや焼き色の痕跡はなく新品同様であった。この為コードユニットの接触不良が原因であった可能性が示唆された。

J-AC05
J-AC05
電通試験で動作確認された場合にはデッドストックとして保管することも選択肢に入れるべきである。
注)作業は各自の責任で行いましょう。
MasaのJaguar XJ40,XJ6-4.0('94最終型,走行距離107,000km)で同様の症状が出たときはEUCユニットの配線を外しコネクタをクリーニングしただけで直ってしまいした。接触不良でサーボモーターが正常に動作していなかったようです。
今回えんどさんが交換したサーボモータは、部品名:SERVO VACCUM MOTOR、部品番号:JLM11557です。XJ40のエアコンは、93年モデル(VIN 687219〜)以降変わっていますので注意して下さい。
92年以前の場合は、部品が違う可能性があります。
JAGUARで使用しているプラスネジは、ポジドライブというタイプで通常のプラスとは違います。通常のプラスドライバーを使用するとネジの頭をつぶす可能性がありますから注意して下さい。
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