ATの1-2ショック対策
(by stupid_opinion)
【はじめに】
(by 桐パパ)
うちのJはシフトの1−2間のショック大きいです。88年式(SOVEREIGN 3.6 ATは機械式)ですが皆さんのJはいかがでしょうか?
多分一度もATF交換してないと思います。1速で引っ張ってポンと言う具合です。同乗者がそれとわかるくらいのショックです。そんなに踏み込んでない普通のときもそうです。
JJにTELしたときその年式は1−2はもともとショック大きいですとの事。ATF交換について聞いたところ、その年式で交換初めてならばまず5リットルくらいずつ徐々に交換しないと、一辺に交換したら,大きな確率で故障するともおっしゃてました。
町の整備屋さんに相談したとこ、15万ほどでATのオーバーホールやっても良いとの事。でもデリケートなJ君にはJJ以外ちょっと心配です。
【桐パパさんと、stypid opnionさんのやりとり】
◆桐パパ
1−2間ショックが気になります。
具体的にどのような処方箋を取ったらよろしいでしょうか?
アクセルちょっとしか踏んでなくても、1−2は2000回転位でで変速します。
当方88年式英国車3600cc、ZFです。
大事に至る前に対処したいのでご教授よろしくお願いいたします。


★stypid opnion
考えられる点として、純油圧制御式A/Tだと思いますが、電子制御でないということを確認する必要があります。
また、エンジンのスロットルバルブ開度情報をキックダウンケーブルでA/T側に持っていって検出しているのですが、そのケーブル調整が悪く、アクセルを少ししか踏んでいなくても、強く踏んでいるのと同じ情報がA/T側に行っている場合、変速点が高速側にずれると共に、ショックも大きくなります。
この場合、1-2だけでなく、すべての変速が高速側にずれるので、原因がこれと判断できます。
1-2に比べ、2-3や3-4は、減速比の差が小さく、しかも、減速比自体も小さいので、ショックはあまり大きくは感じません。
エンジン回転が2,000rpmといっても、元々トルクコンバータでスリップがあるので、変速点は車速で判断するべきものです。

従って、アクセルを少しだけ踏んで、1-2、2-3、3-4と変速する車速を教えて下さい。
ついでに、アクセルペダルを踏んでいくと、より高速で変速するかどうかも確認して下さい。
アクセルペダルが全開の場合は、2-3や、3-4変速は100Km/h以上となるので、1-2変速だけでも結構です。

兎に角、アクセルペダルと連動して変速点が変わっているのかどうかについて、情報が欲しいと思います。

電子制御式の場合は、変速の状況を学習し、ショックの少ない方向に変えていくものもありますが、ロジックが少しでも悪いところがあると、逆に変速ショックが学習で益々悪化する場合もあり、その場合はバッテリ端子を5分程度外し、コンピューターを初期化すれば嘘のように直ってしまいます。

簡単ですから、一度試す価値はあります。
なお、ATFのレベルを取り説に従って正規であるかどうかを、確認する必要がありますが、単にATFを交換しても、1-2ショックは直らないと思いますよ。


◆桐パパ
言われたように、変速車速見てみました。
アクセル開度4分の1ほどで、1―2変速は2000回転30キロそのままアクセルはゆるめず2―3間は3000回転65キロ、ハーフアクセルで1―2間は2300回転36キロほど。2―3間は3300回転70キロ程です。
もちろんアクセルを戻すと2千数百で変速します。
フルアクセルは試してません。

以上でよろしいでしょうか?
ご教授よろしくお願いします。


★stypid opnion
早速の走行実験データですね。
3速A/T?なのでしょうが、それにしても変速車速は明らかに高速にずれていて異常です。

1/4開度であれば、1-2は15〜20Km/h、2-3は25〜35km/h程度だと思います。
それに、1/4と1/2開度の車速がもっと違わなければいけないようにも思います。もしかすると、開度によって、変速車速が変わっていないのかもしれません。何故なら、変速信号が出てバルブが切り替わり、クラッチに油圧が供給され、変速が開始し、そして終了するまでに1秒程度は必要で、開度が大きいほどその間に加速してしまうので、車速が高く思えてしまうからです。

変速車速がアクセル開度によって違っているのかどうかを確認するには、やはり全開の1-2が50km/h以上かどうかが決めてとなります。ヨーロッパ車では、キックダウンディテントと言って、全開ではアクセルペダルが少し硬くなっていてそこを乗り越えると本当の全開となるので注意が必要です。

もし、この車速が50km/h以上であれば、A/T側にスロットルバルブ(アクセルペダル)開度の信号が入ってはいても、そのケーブルの調整が悪いため、アクセルを踏んでないのに、あたかも踏んでいるかのような情報となって、油圧を全体に高くしてしまい、ショックが大きくなっているのです。

また、40km/h程度以下であれば、スロットルバルブ開度情報がA/Tには伝達されていないことになり、基本的な不具合ということになります。

それから、少し気になりますが、変速信号が出てから、変速が開始せず、しばらく経ってから変速するようなことがあると、間延びした感じの変速後に、大きなショックが発生するものです。
この場合は、油圧が低すぎて変速が始まらないのですから、例えば、スロットルケーブルが切れていて、スロットルバルブ開度の情報が全くA/T側に伝達されていない時には、このような症状にもなります。


◆桐パパ
ATをいたわって走っているつもりで全開はしてません。
全開テストをして不具合は出ないものでしょうか?


★stypid opnion
4A/Tということだとすれば、普通の市内走行では4速には入らないということですね。

スロットルケーブルを引っ張りすぎている場合は、全体に油圧が高めになり、変速ショックは大きくなったとしても、A/Tの不具合は発生しません。

しかし、ケーブルが外れてしまっていると、アクセルを踏んでいるのに、A/Tはアクセル全閉と勘違いしているので、油圧が低くなってしまい、低速でシフトバルブが切り替わっているのに、変速が始まらず、しばらくして油圧が上昇してから変速するので、A/Tの不具合が出る可能性が大きいと思います。

A/Tについてよく解っていれば、どちらの不具合であるかは乗ってみると直ぐに判明するのですが、言葉だけではなかなか説明しにくいですね。

エンジンを止め、ボンネットを開けて、アクセルペダルに連動するスロットルバルブを手で開けてみましょう。
A/Tの方に連結されているケーブルが一緒に動くと思いますが、このケーブルがA/Tの方に影響しているかどうかを見て下さい。
純電子制御A/Tであれば、このケーブルはない場合もありますので、電子制御A/Tであるかどうかも重要なのです。

FR車と思いますが、カーメーカーと車種を教えて下されば、おおよそは見当がつきますが・・・。


◆桐パパ
ご教授ありがとうございます。本当に参考になります。
おっしゃる通り市街地走行では4速入りません。
先にご教授されてた中の
>エンジンを止め、ボンネットを開けて、アクセルペダルに連動するスロットルバルブを手で開けてみましょう。

A/Tの方に連結されているケーブルが一緒に動くと思いますが、このケーブルがA/Tの方に影響しているかどうかを見て下さい。

どの様に影響してれば良いのか?
どの様に影響していれば悪いのか?
良くわかりませんので詳しく御教え下さい。

>ATの型式ZF4HP22で(電子制御ではありません。)
車種は88年式ジャガーXJ40です。
何度も申し訳ございません。


★stypid opnion
車種とA/Tの種類について理解しましたので、考えやすくなってきました。

油圧制御式ですし、1-2シフトは、遊星ギヤを含むギヤトレーン内に装着された1速用ワンウェイクラッチのロックが、2速用クラッチの結合によって自動的に外れていく経過を辿るので、ショックがあるとすれば、2速用のクラッチ油圧が過大の場合と、過小の場合があります。

過大な場合は、理解できると思いますが、過小の場合は、以下の理屈でショックが大きくなります。

つまり、シフトバルブが切り替わって、2速用のクラッチへ油圧が供給され始めると、クラッチピストンが油圧で押されて、クラッチを押し付けようとします。
その時に、この回路中にあるアキュムレータ(油圧の上昇速度を制御するピストン)が作動し、ストロークを開始します。
このアキュムレータの動き始める油圧は、アクセルペダルの踏み加減で決まるようになっているので、エンジンのスロットルバルブの動きをケーブルによって、A/Tの油圧バルブボディに連結しているのです。
そのケーブルが切断していたり、連結忘れがあるかどうかを見ればよいのです。

どのように影響しているかは、走行中でなければ判りませんので、先ずは、ケーブルが連結されているかどうか(すかすかとなってはいないか?)だけを見るのです。
もし、連結されていて、変速点が高速側にずれて、しかもショックが大きければ、恐らくケーブルを引っ張りすぎていて、油圧が過大となっている可能性が高いのです。

油圧過大の場合は、ケーブルの引っ張りすぎを外索の取り付け位置(一般には調整しやすいエンジン側)を調整して、是正します。

調整方法は内索の目印と外索の目印とを一致させるというのが普通ですが、整備解説書に従うのが正規です。
ケーブルが外れていたり、切断していたら、それを修正するしかありませんが、A/Tのクラッチの焼けが心配なので、オイルレベルゲージを引き抜いて、ATFが焼けた色と臭い(これが決め手)で判断するのです。


◆桐パパ
丁寧なご教授ありがとうございます。早速ディーラーで点検してもらいます。

◆桐パパ
今日デーラーでキックダウンケーブル調整しました。
激変  普通のATになりました。
ご指導ご鞭撻心より感謝します。


★stypid opnion
K/Dケーブルの調整でなおったということは、ケーブルを引っ張りすぎて油圧が高くなり、変速点も高速側にずれ、燃費がとても悪い状態で走っていたことになりますが、A/T本体はダメージを受けていないと思いますので、その点は助かったと思います。

A/Tに詳しい人はとても少ないのですが、これはカーメーカのA/Tの修理に対する考え方や、ディーラーの考え方にも原因があるようです。

つまり、現在は電気製品でもなんでもアッセンブリ交換が主体となってしまい、悪い箇所を推定し、それを確認して、悪いところだけを部品交換したり改修したりする昔のやり方をしなくなってしまいました。

整備業界も粗製乱造、なかなか骨のあるosekkai4649さんのような方が少なくなってしまいました。

アッセンブリ交換の方が早く修理ができ、人件費が安くなると共に、高価な部品交換で儲けが大きいというわけで、メーカーやディーラーにとっては、やめられないのでしょう。

でも、悪いところを追求し、そこだけを直せば、まさに機械はその働きを取り戻し、機械自体も喜んでいるというように、私はいつも感じます。

特に、自分が設計したものが、思いもよらずユーザーの方々に迷惑をかけてしまっているとき、私は何が何でもその原因を明確にして、完璧な良品としなければならないと強く思いますし、寝ても覚めても不具合の原因を考えていると、必ずやその原因と解決方法が与えられきたような気がします。

K/Dケーブルの調整などは、A/Tの基本ですから、少し経験のある人ならば直ぐに想像がつくと思いますが、クラッチが焼けてしまったり、ベアリングが破損したりした場合は、その原因たるや10も20もあるので、真の原因をつかむ苦労は並大抵ではありません。

えてして、ATFの劣化のせいにしてみたりする人が多く、そのような時、私はATFが本当にかわいそうな気がしてしまいます。

その後また報告いたします。  感謝!

以上
【あとがき】
(by 桐パパ)
前にも書いたようにうちのJはATの変速ショックがすごかったのですが、キックダウンケーブルを今日JJで規定値に調整してもらったのですが、変速ショックは激減して普通のATになりました。
オーヴァーホールまで考えてたのはいったいなんだったのでしょうか?
(中略) JJいわくAT不調はまずキックダウンケーブルの調整から。(電子式以外のやつのみですが) 書き忘れてました。 調整料は6000円です。ついでに他のチェックもやってもらいました。
【注意】
この内容はYahooの掲示板内で メンバーの桐パパさんが 回答者の許可をとり転載したものです。詳しくは下のURL参照してください。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=AU&action=m&board=1834968&
tid=a3aa3ta3fa4n8r49a4ka4da4a4a4f&sid=1834968&mid=1"

stupid_opinionは現役のAT本体の開発者だそうです。職業柄それ以上は・・・

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